1.パターン修理
4.2.4 導体のリペア、表面ワイヤー工法(ジャンパー線)
概要
本工法は、プリント回路基板表面の損傷した導体、または欠損した導体を修復する場合に用いられる。標準的な絶縁線または非絶縁線を使用し、損傷した導体をリペアする。
スキルレベル
上級
適合性レベル
高
- ※ 各手順の実施に必要な推奨スキルレベルを、指標として記載している。エキスパート > 上級 > 中級
- ※ 適合性レベルは、各手順の処置が問題なく完成した際に、その製品がもとの製品要件に到達する適合度を示している。
高 > 中 > 低
許容基準の参照文献
工具および材料
- ワイヤードット(固定テープ)
- エポキシ
- はんだごて、糸はんだ
- リーナー、ふき取りワイプ
- 加熱ランプ
- ポリイミドテープ
- ジャンパー線、ワイヤーガイドツール
- マイクロスコープ
- ナイフ、スクレイパー
- フラックスなど
修理手順
下記表は横にスクロールできます。
STEP1 | 対象箇所を清掃する。 |
---|---|
STEP2 | ナイフ等を使用して、導体の損傷部分を除去する。 |
STEP3 | ナイフを使用して、残存する導体の先端からソルダレジストまたはコーティングをすべてこすり取る。(図1) |
STEP4 | 作業で遊離した材料をすべて除去する。対象箇所を清掃する。 |
STEP5 | 残存する導体先端に、少量の液体フラックスを塗布し、露出した導体の先端に予備はんだを施す。 |
STEP6 | 対象箇所を清掃する。 |
STEP7 | 修復する導体の幅と厚さに適合するワイヤーを選定し、必要な長さに応じて切断する。導体幅と単線の等価については、表1を参照。 |
STEP8 | ワイヤーの被覆を剥き取り、必要に応じて先端に予備はんだを施す。導体が交差していない場合は、ショートのリペアには、非絶縁ワイヤーを使用する場合がある。 |
STEP9 | ワイヤーを清掃する。 |
STEP10 | ワイヤーが長すぎる、または曲がっている場合、形をフォーミングする前に、一端をはんだ付する場合がある。ワイヤーを所定の位置に置く。 |
STEP11 | 重なり合う接合部に、少量のフラックスを塗布する。 |
STEP12 | プリント回路組立の表面にある導体の一端にワイヤーを重ねてはんだ付する。 |
STEP13 | 欠損した導体の形状と一致させるため、必要に応じてワイヤーを曲げる。(図3) |
STEP14 | プリント回路組立表面に残存する導体へ、ワイヤーを重ねてはんだ付する。 |
STEP15 | ポリイミドテープを外し、清掃する。 |
STEP16 | ワイヤードット(固定用テープ)またはエポキシを使用して、プリント回路基板表面にワイヤーを接着する。(図5) |
STEP17 | メーカー推奨事項に従い、エポキシを硬化。 |
STEP18 | 硬化後、対象箇所を清掃する。 |
下記図は横にスクロールできます。
表1
導体の幅 | 相当する単線の径 ワイヤー径 (AWG, mm) |
---|---|
0.25mm | #34, 0.15mm |
0.38mm | #32, 0.20mm |
0.50mm | #31, 0.23mm |
0.78mm | #29, 0.28mm |
2.08mm | #26, 0.46mm |
3.18mm | #23, 0.58mm |
単線の断面積は減少させないこと
検査上の注意点
- ワイヤーの位置および重なりを目視検査
- 必要に応じて、電気試験
- 導体の幅および厚さ
- 基板の損傷
- 必要に応じて、硬化したエポキシの厚さおよび範囲を検査
- 必要に応じて、硬化した封止材の厚さおよび範囲を検査
- 接着剤の硬化状態、厚さおよび塗布範囲