3.基板の修理
3.5.1 基材のリペア、エポキシ工法
概要
本工法は、プリント回路基板の基材に発生した、軽微な損傷をリペアする場合に用いられる。取り扱い中の偶発的な事故により発生した切り傷や擦り傷、はんだ付およびはんだ吸い取り器の不適切な使用で発生した基材の焼け等を修復する。
スキルレベル
上級
適合性レベル
高
- ※ 各手順の実施に必要な推奨スキルレベルを、指標として記載している。エキスパート > 上級 > 中級
- ※ 適合性レベルは、各手順の処置が問題なく完成した際に、その製品がもとの製品要件に到達する適合度を示している。
高 > 中 > 低
許容基準の参照文献
工具および材料
- エポキシ剤、着色剤
- 手持ち式ドリル
- 超硬ボールミル
- 加熱ランプ
- ポリイミドテープ
- オーブン
- マイクロスコープ
- ナイフ、スクレイパーなど
前提条件
この工法は、損傷が基材に深く広がっているが完全に貫通していない場合に用いる。基材が貫通して損傷している場合、手順3.5.2や3.5.3を参照すること。
損傷箇所において、表面導体を修復しなければならない場合がある。基材のリペア後に導体を回復できるよう適切な導体配置図や修復前の状態を撮影した写真を入手しておくこと。
修理手順
下記表は横にスクロールできます。
STEP1 | 損傷箇所を清掃する。 |
---|---|
STEP2 | ナイフを使用して、損傷した基材をこすり取る損傷した基材およびソルダレジストは、すべて表面から取り除く(図1)。代替工法は、2Aを参照。 2A.デンタルスタイルドリルとボールミルを使用して損傷した機材を削る。損傷した基材の物質およびソルダレジストはすべて除去する(図2) |
※注意※ |
|
STEP3 | 作業で遊離した材料をすべて除去し、対象箇所を清掃する。 |
STEP4 | プリント回路組立の露出した部品を保護するため、必要な箇所にはテープを貼る。 |
※注意※ |
|
STEP5 | エポキシを混合する。必要に応じて、着色剤を加え、基板の色と適合させる。 |
STEP6 | プリント回路基板表面と平坦になるように、対象箇所をエポキシで充填させる。積層材の繊維は、露出していないこと。木製スティックや綿棒等を使用して、エポキシを塗布する。(図4、図5) |
STEP7 | メーカー推奨事項に従い、エポキシを硬化。 |
STEP7 | エポキシが硬化した後、テープを外す。 |
STEP7 | 必要に応じて、ナイフまたはスクレイパーで余分なエポキシを除去する。塗布したエポキシの表面が周囲のプリント基板表面と平坦になるまでこすり落とす。 |
STEP7 | 作業で遊離した材料をすべて除去する。対象箇所を清掃する。 |
下記図は横にスクロールできます。
検査上の注意点
- 質感および色合いを目視検査する
- 該当する場合、リペアした周辺導体を電気検査する
- リペア箇所が、もとの基板の厚さを超えていない、薄くなっていない