1.パターン修理
4.7.4 表面実装、インテグラルビアを伴うBGAパッドのリペア
概要
本工法は、損傷したBGAランドを、裏面にドライフィルム接着剤がついた新しいパッドに交換する場合に用いる。電気的接続は、最初の製造過程でランドに一体化させた(インテグラル)ビアにて行う。(図1)
スキルレベル
エキスパート
適合性レベル
中
- ※ 各手順の実施に必要な推奨スキルレベルを、指標として記載している。エキスパート > 上級 > 中級
- ※ 適合性レベルは、各手順の処置が問題なく完成した際に、その製品がもとの製品要件に到達する適合度を示している。
高 > 中 > 低
許容基準の参照文献
工具および材料
- サーキットフレーム(修復用エッジコンタクト)
- 接着用機器およびチップ(UNIXJBC)
- エポキシ
- はんだごて、糸はんだ
- クリーナー、ふき取りワイプ
- ポリイミドテープ
- ピンセット
- マイクロスコープ
- ナイフ、スクレイパー
- フラックス、やすり(仕上げ用)など
修理手順
下記表は横にスクロールできます。
STEP1 | 対象箇所を清掃する。 |
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STEP2 | インテグラルビアに損傷を与えないよう、欠陥のあるランドを慎重に除去する。 |
STEP3 | プリント基板表面からエポキシ残渣、汚れ、焼けた材料をこすり取る。 |
STEP4 | 露出したビアから、すべての残渣をこすり取る。(図2) |
STEP5 | 対象箇所を清掃する。 |
STEP6 | 基板表面のビア接続に、少量の液体フラックスを塗布する。適切な寸法のはんだ吸い取り線を使用して、ビアからはんだを除去する。対象箇所を清掃する。 |
STEP7 | 基板表面上の、新しいパッドを配置する箇所は、滑らかで平坦であること。この手順では、ビアの位置から対象ランドの外側エッジまで、基板に溝または導管を切り込む必要がある。これにより、新しいBGAランドの加圧形成を妨げることなく、ビアからランド接続回路のルート鳥に十分なスペースを確保する。(図3) |
STEP8 | 交換する表面実装ランドに最も適合する、サーキットフレーム(修復用BGAランド)を選定する。特別な寸法や形状が必要となる場合は、特注加工しても良い。(図4) |
STEP9 | 新しいランドの裏面に位置するはんだ接合箇所からは、裏当てのドライフィルムを慎重にこすり取る。(図6で示すように、修正用ランドのテール部のみが対象。この図では、ランドは接着剤が付いた面(オレンジ色)を上にして表示している)最終的に加圧形成するランドが平らになることを確実にするため、接続回路の全長からランドに至る箇所まで、ドライフィルムの除去が必要である。(図5) |
※注意※ |
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STEP10 | 新しいパッドをめっきが施された面から切り取り、トリミングする。(図4) |
STEP11 | ランドの上面を裏にし、接続回路がビアの中にフィットするよう、ランドを基板上に置く。事前に切り込んだ溝または導管全体に接続回路が敷かれていることを確実にする。(図6)新しいBGAランドの接続回路は、もとのBGAランドのインテグラルビアホール内へと挿入される。 |
STEP12 | 接続回路をビアに挿入し、フラックスを接続箇所へ慎重に塗布する。 |
STEP13 | 接続回路をビア内へとはんだ付けする。 |
STEP14 | 接続回路を、溝の底部に置く。 |
STEP15 | 新しいBGAランドを180度折り返して(修復用導体に損傷がないこと)、位置合わせを容易にするよう耐熱テープを使用して、新しいランドを回路基板表面の所定の位置に置く。 |
STEP16 | 新しいランドの形状と適合する接着用チップを選定する。 |
STEP17 | 新しいランドを覆っているカプトンテープ上から、接着用チップを静かにあてて、5秒間熱と圧力を加えて、新しいパッドを所定の位置に部分的に接着する。 |
STEP18 | さらに、30秒間圧力を加えて、ランドを完全に接着する。テープを外し、対象箇所を清掃する。 |
STEP19 | 接続強度を補強するため、新しいランドの外周にエポキシを塗布しても良い。エポキシを混合し、推奨される各条件にて硬化させる。推奨される最大熱サイクルを用いて、再強度の結合を確実にする。BGAランドは、常に一回以上のリフローサイクルにさらされる。 |
STEP20 | 必要に応じて、もとのコーティングと適合する形でコーティングを施す。 |
下記図は横にスクロールできます。
検査上の注意点
- はんだの箇所、導体、および積層の目視検査
- 新しいランドの幅および間隙の測定
- 電気的導通の測定